クラフトマーケットが教えてくれる、つながりのこと
- Nami Sakai
- 7月2日
- 読了時間: 2分

クラフトマーケットには、なぜだかいつも心惹かれます。お目当てはモノだけではありません。そこにいる「作り手」の存在に引き寄せられているのだと思います。
私を何度も足を運ばせる理由は、買い物ではなく、学びと物語、そして作り手との静かなつながりにあります。
出会う職人さんたちは、みなさん自分の仕事を誇りに思っています。ただ見ているだけではなく、そのプロセスや作品づくりの背景に興味を持っていると伝わったとき、彼らの表情がふっと輝くのがわかります。何を、どのように作っているのか。その背景に心を寄せれば寄せるほど、会話の中に信頼や親しみが生まれていくのを感じます。そこには、人間らしいあたたかい何かがあります。
その短いやりとりの中で、私は技法や素材のことだけでなく、その人がどんな人で、どんな想いを持ってこの仕事をしているのかに、ふれることができます。すると、それまで気になっていたひとつの品物が、まるで別のもののように見えてくるのです。ただの「美しいもの」ではなく、その作品に出会った瞬間の思い出や物語、作り手の存在を宿すものへと変わっていきます。
その感覚は、マーケットを離れたあとも、ずっと残っています。家にあるモノたちを眺めながら、ふと作り手のことを思い出すことがあります。この作品をつくるまでに、どんな壁を越えてきたのだろう、と。そのたびに、私の心は満ちていきます。静かなよろこびと意味を届けてくれる作り手たちへの、感謝の気持ちでいっぱいになります。
クラフトマーケットは、単なる市場ではありません。そこは、モノだけでなく、「想い」や「手しごと」、「つながり」が行き交う空間。そして、私が手にするひとつひとつには、値段では測れない思い出と想いが、そこに息づいているのです。



